2010年02月23日

お悩み相談

さて、久しぶりのお悩み相談が来たのでお答えします。
沙江さんという方からのご相談です。

現在30才になりました。
29才の終わりに漫画家を目指す事を決意して会社を退職したのです。
20代はOLしながら趣味で絵や漫画を描いて楽しんでいて、
それで満足していたので今まで投稿などもした事がありませんでしたが
集英社さんのすぐ近くの会社に勤めていて、
毎日前を通る度に本気で漫画を描きたいという衝動が
日に日に強くなったのです。
気付くのがとっても遅い! 遅過ぎる!!と自分でも思います。
今4月の締め切りに応募する為の漫画を描いているのですが
とある漫画家さんのサイトにこんな事が書かれておりました。
漫画の投稿は、年齢・受賞歴など問いません と書かれてはいますが
荒削りで絵が下手だったとしても25才と18才の作品だったら
18才の方を選ぶ・・・ と。
一般の会社の人員募集などで若い子を選ぶのはわかります。
でも漫画の世界にも実は年齢って関係してくるのでしょうか?
私の場合ですが、今までの社会経験や対人関係・いろいろな所へ遊びに
行って観て聞いて感じた経験 などは若い子よりもあると思います。
漫画を描いていくのにネタに尽きない人生だったし
いろんな人間も見てきたので、キャラ作りに頭を悩ますこともありません。
でも30才過ぎてから漫画家を目指すというのはなかなか難しいお話に
なってくるのでしょうか?

勿論「難しい」と言われても投稿し続けるワケなのですが(笑)
やって後悔するのとやらないで後悔するのでは将来、
悔しさも人間の深さも変わってきますから。
仕事が無い不況の今、私自身どういう生き方をするのかを問われている気がするのです。
そうして出た結論が、漫画を通してこれからの若い世代に語りかけたい。
貢献したい。だったのです。

でもでも、実のところ30過ぎると厳しいもんなんですか?!
少し気になります・・・・・。


30歳すぎてから、漫画家を目指すのは厳しいのかどうか・・・
正直、厳しいです。一般的にはそんな意見が大半なのですが
チャレンジしないで厳しいかどうかと問うほうが
わたしは違うんじゃないかなと思っています。
社会経験もある、いろんな人を見てきた、だからキャラも作れる。
でも、作ったんでしょうか。
その人が30歳になっても漫画家を目指せるかどうかは
本当のところ、作品を見ないと一般論でしか語れないというわけです。
幸い、4月の締め切りに向けてがんばってるようなので、
そのままとりあえず、1作作ってみて!という感じです。
そもそも、漫画家ヒエラルキーの底辺からスタートするわけです。
そこには万単位の同士であり、ライバルがいます。
若い人も沙江さんより、年上の人もいます。
30歳になっても、世の中が不況でも
生活が不安でも、何が何でも漫画家になる!という意志で
会社をやめたのだったら、その強い意志を貫いて下さい。
そうでないと、ヒエラルキーの底辺にもいられない厳しい世界です。
若い人には若い人のメリットもありますが、デメリットだってあります。
同じように、30歳でもメリットもあれば、デメリットもある。
メリットを武器にして、デメリットをカバーすれば問題ないのです。
恐れるものは何事もなしえることは出来ません。

ただ、これは沙江さんとは関係のない話かもしれませんが
30歳で投稿するのが厳しいと言われる原因はもう一つあると思います。
それは、「負け癖がつく」と言うことです。
正直、これが一番深刻なのです。
若い頃から、何度も投稿して漫画家になれずにいると
「またダメかもしれない」と思いながら作品を仕上げてしまう癖がつくんです。
そうなってくると、投稿作の読み切りを何十本も描き続けることになる。
これは新人漫画家にも言えますが
そのたびに新しいキャラ、新しい設定を考えなきゃいけない。
連載作家が3年連載していたら、一つの設定で、一人の主人公で、
後はエピソードをひねって
構成をひねって・・・ってところで3年回していくのですが
その間、例えば、3ヶ月に1回描いていたら、
それぞれに違った設定やキャラの話を12本作らなければないらないのです。
2ヶ月に1回なら18本。
ネタがなくなったり、行き詰まったり、焦ったり、消耗したり、
何が描きたいのか見失ったり、作家の売りを見つけるという一番大事なことすら
忘れがちになってしまいます。
実はこの現象が一番まずいのです。
ここから這い上がるのは至難の業で、目から鱗の衝撃事件が起こったり、
他の人の3倍くらい努力したり、すべてをリセットするつもりで
なにかを変えないと厳しくなってくるのです。
そのぐらい、負け癖、負のスパイラルは恐ろしいのです。
もちろん、連載作家が一つの設定とキャラで回せるから楽ということでは
決してないですよ。
ただ、悩む内容のステージが確実に違うと言うことです。

幸いにも沙江さんは今、マンガを楽しんで描くことが出来ていると思います。
多くの人にこの思いを伝えたい!読んで欲しい!
自分が最高だと思ったキャラを作りたい!と希望に溢れていて
ネタもたくさんあるんでしょう。
それは漫画家になる上で、また、なった後でも
とっても大事なフレッシュな考え方です。

厳しい世界に入ってくる人間に対して、わたしは甘い言葉を言うつもりはありません。
なので、30歳からの投稿スタートは、厳しいと言われている現実は受け止めて下さい。
ただ、その理由に自分が当てはまらなければ、それでいいのです。
それに、「そうか、じゃああきらめよう。」とあきらめることができますか?
そんな中途半端な気持ちで会社をやめたわけじゃないと思います。
背中を押して欲しかったらいくらでも押しましょう!
きっと、それが一番して欲しいことなんですよね。
文面を読んでいると、そんなに深く悩んでいないと思います。
それ以上にやる気と自信があるはずです。
マンガ業界で言われてる常識なんて、自分が壊していけばいいんです。
漫画家は30歳超えないと使い物にならないなんていう
デファクトスタンダードを作る気でいればいいんです。
そんな気持ちで30歳からの投稿をスタートさせて下さい!

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