2010年12月31日

今年一年を振り返って マンガ業界編

早いもので、もう、大晦日ですね。
恒例の今年一年を振り返ってみようと思います。
個人的なことは後回しにして、なんといっても後半は
マンガ業界を激震させた都条例が可決されたことが大きいでしょう。
これを読んでる方々もいまいち条例の内容など知らない方も多いと思いますし
ご存じの方でさえ、
「青少年の育成に相応しくない、激しい性描写が描かれた漫画を規制する」
という内容の条例だと思ってる方が大半だと思います。
実はそれはとんでもない間違いなのです。
ここで色々と語ることは控えますが、一つ、言えることは
この条例が可決されたことで、間違いなくマンガ文化は廃れます。
それも、紙芝居のように、テレビという新しいメディアが現れて廃れるのではなく
行政から殺されるわけです。
曖昧な内容の条例だけに、出版の良し悪しを決めるのも行政でしょう。
漫画には検閲が入り、その検閲をする機関が新たに作られ天下りの温床になりかねません。
都条例が議会に提出された経緯も怪しければ、可決に至る過程も怪しいものでした。

こんな事を言うと、話題のすり替えだと言われそうですが
ここであえて言わせていただきます。
青少年の健全な育成を目指すのなら、東京都は他にやらなきゃいけないことが山ほどあるのです。
保育園の問題、教育格差、少子化、過疎地の学校、高層マンションが立ち並んだための
学校の飽和状態、授業内容、学力の低下等々・・・・
これらの問題を全て後回しにして、短期間でこの条例が可決されたことが不思議でなりません。
青少年の問題ばかりではないです。
東京都は新銀行東京という、本来は中小企業を救うために石原都知事が鳴り物入りで
立ち上げた銀行が現在、1000億以上の赤字で追加融資などでさらに数百億のお金を使っています。
これだけの赤字を出し、都民の血税をドブに捨てるような行為をしても
この銀行に対する経営陣の責任問題は何一つ解決されていません。
赤字からすでに何年もの歳月がたっていてもです。

そうでなくても、この業界は現在、疲弊しきっています。
違法ダウンロードや漫画喫茶、ブックオフなどの古本屋の問題で
本来なら、漫画家に入ってくるべき収益が入ってこず、漫画も売れなくなる一方です。
こんな状態でどうやってモチベーションを保って面白い漫画を描けばいいんでしょうか。
漫画の作業は大変なのです。アシスタントも使わなければいけません。
みなさん、30ページの原稿を描くのに、一日寝る間も惜しんでお仕事してる人が多いです。
面白い漫画を描いたとしても、その対価が少ないとしたら
とても続けていられる仕事ではありません。
儲からなければ、漫画家を目指す人も減るでしょう。
それでも、描きたい漫画がある、好きなように描けるという僅かなモチベーションを
この都条例が奪ってしまったのです。
5年後、10年後、漫画という、世界に誇る文化が残っていると
現在断言することできません。
なくなる可能性のほうが大いにあります。

わたしたち作家がこの危機を声を大にして叫んでも
賛同して、なにかしらの行動をしてくれる人は
一部のマンガ好きと出版社だけだというのはよくわかってます。
漫画が生活に欠かせないものではないからです。
わたしが高校生で友人から回ってくる漫画を読んで、面白かったら買うという
ごくごく一般的な読者だったら、「漫画がなくなるかもしれない。」と言われたら
「ああ、そうなんだ。」と答えるだろうと思ったからです。
だから、業界のことは、業界で解決しなきゃいけない。
この問題や危機感を一般の人に理解してもらうのは難しいことです。

漫画家になって17年、まさかこんな時代が来るとは思ってませんでした。
業界的には暗い話題の多い1年でしたが
希望を捨てずに、来年も誠心誠意、一生懸命漫画を描くだけです!


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